駅から徒歩138億年――。その言葉が示すのは、宇宙の歴史と日常の歩みを重ねる旅だ。身近な川を遡り、時間の奥行きを見つめる。本書は、移動の意味を問い直すエッセーである。海外旅行が最大の趣味だった著者は、子どもが生まれてから海を越える旅から遠ざかった。代わりに選んだのは、近所の多摩川を歩くこと。季節や時間帯で表情を変える川に魅了されるうち、下流から上流まで歩き通すことを思いつく。1日1時間程度、小 ...